犬猿☆ラブコンフリクト
そんなことを思いながら、茂木先輩に訪ねてみる。



「ほら、あのチームのスタメン、2人をナンパしてたじゃない?・・・うちの可愛いマネージャーをナンパしたいなら俺達を倒してからにしろよって2人して張り切っちゃって・・・あはは、子供っぽいかな?」



困ったように笑う茂木先輩。



でも、2人してって・・・?



「あの、2人って言ってましたけど、もう1人は誰ですか?」



「あれ、気付かなかった?二海だよ」



・・・え?



あの二海が・・・?



「なんなら、二海から言ってきたんだよ。“アイツら、ボコボコにしましょう”って。アイツ、あぁ見えて独占欲あるよな。だって──」



「なぁ、辻本。俺のタオル知らね?どこ探してもねぇんだよ」



茂木先輩が何かを言おうとした時、体育館から顔を出した二海が言葉をさえぎった。



茂木先輩、なんて言おうとしてたんだろ。



「え、NIKEのタオルでしょ?ベンチの上にあるはずだけど」



「ないから言ってんだろ、頭ポンコツかよ」



「はぁ!?自分でなくしておいてその言い草はないでしょ!?」



腹の立つ言葉に煽り返すと、あーだこーだと言い合いが始まる。



さっき、二海の顔見れなかったのが嘘かのように、睨み合いながら罵りあった。



「ふふっ・・・」



「?どーしたんすか?茂木さん」



言い合いの途中、茂木先輩が面白そうに微笑む。



「ふふっ、なんでもない。不器用だなって思っただけ。さ、片付け始めるよ」


そう言って、私と二海の背中を押す茂木先輩。



茂木先輩の反応にハテナを浮かべながらも、私は体育館の中へと入っていった。

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