21トリソミー
「香澄のご両親はなんて?」

 奈子は今日も答えてくれない。

「……まだ、話してない」

 話さなきゃいけないことは分かっているが、昨日の今日だし、私の両親はこの子にとって親じゃない。祖父母だ。育てるのはあくまで私と友樹。と、言い訳を並べて、初孫を楽しみにしている両親に、ただただ言いづらいことを後回しにしたいだけだ。

「他人の私に話をするんじゃなくて、まず身内でしょ」

 奈子の言葉はごもっとも。でも……、

「身内だからこそ、話し辛いんだよ」

 だから奈子に相談してるのに。

「私は他人だから、私の意見なんて無責任だし、言いたい放題になっちゃうよ。聞くだけ無駄だと思う。聞かない方がいいよ」

 奈子の返事は、予想外に冷たかった。

 奈子とは就職後に友だちになったから、学生時代からの友だちと比べたら、付き合いはそんなに長くはないかもしれない。でも、私は奈子を親友だと思っていた。

 親身になってほしいとまでは言わないが、もう少し寄り添った言葉を発してほしかった。
< 15 / 186 >

この作品をシェア

pagetop