21トリソミー
 連絡もせずに突然帰ってきた娘に両親は驚き、「友樹くんと何かあったの?」と心配した。

「私、どうすればいいのか分からなくて……」

 両親の顔を見た瞬間に泣き出してしまった。親の存在と実家の匂いが醸し出す安心感は、途轍もない。

 母が、「新幹線の中で何か食べて来た? 急に来るから、たいした夕飯用意出来ないわよ」と私を抱き寄せながら背中を摩った。「お父さんとお母さんは食べ終わってるでしょ? 私の為にわざわざ夕食出さなくていいよ」と母の胸に顔を埋めながら首を振ると、「アンタがよくても、赤ちゃんがお腹空かせてるでしょうよ」と笑う母に、胸がきゅうっとした。

 リビングのソファに腰を掛けると、母はキッチンに行き、簡単な夕食をパパッと作って出してくれた。食べなれた味だからだろうか。母の料理というのは、手が込んでいなくとも物凄く美味しい。
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