21トリソミー
 母からお弁当を二つ受け取り実家を出発。

 始発の新幹線は空いていて、自由席でも窓際の席を確保出来た。

 流れる風景を少し眺めた後、スマホのアラームを1時間後にセットすると、目を閉じた。

 起きる時間が早かったせいなのか、疲れが残ったままだからなのか、ここでもスムーズに眠れた。

 1時間はあっという間だった。眠りについた体感5分後に握っていたスマホが『起きる時間だぞ』とブルブル震えた。

 目を開けたら世界は変わっていないだろうか? などど小学生じみた希望を巡らせながら、ゆっくり瞼を開く。

 膝の上に置いていた母のお弁当を目にして、一気に現実に引き戻される。

 世界など、変わっているはずがなかった。

 母のお弁当を食べるために、2時間眠れるところを1時間で起きた。

 食べよう。と思うのに、食べる気にならない。

 それは、朝だからなのか。精神的な問題なのかは分からない。知りたくもない。
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