21トリソミー
 それでも、お弁当の蓋を開け、箸を手にした。

 つわりがあるわけでもないのに、食べないなんてお腹の子どもを蔑ろにしている気がしたから。

 これがきっと母性なのだろう。周り味方がいなくても、この子は守りたい。

 ならば何を迷っているのか。悩んでいるのか。

 未熟で馬鹿な私は、願望が覚悟に直結しない。

 産みたい。でも産むのが怖い。もしダウン症だったら……。きっと、思い描いていたものとは全く違う子育てになるだろう。

 希望が絶望に変わる。違う。私が勝手に絶望に変えている。自分の子どもに絶望を覚える自分にもまた、深く絶望する。

 そんな母親、誰が見ても子どもを持つ資格などない。分かっている。

 他人のことなら、答えは簡単。みんなの言う通り、堕ろすべき。

 だけど、自分のこととなると答えが出せない。
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