フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました

昨晩、ベッドに座ったままずっとぼんやりとしていた。いつのまにか眠ってしまったのだ。きちんと布団の中に入っているのを見たところ、途中でホテル特有の乾燥と冷房に、寒くなってしまったらしい。なのに、カーディガンは脱いで椅子にかけてある。

わたしはもう一度、ぽてんとマットに転がった。

(どうしよう……。って、どうしようもない。帰らなきゃ……)

わたしの暮らしは、まだあそこにあるのだ。逃げてきただけで、なにも解決していない。永遠に帰らないつもりなら、それなりに覚悟がいる。

ただ、この先のこと、わたしの気持ち、夫の言葉。
まだ、夫婦として向き合う覚悟はない。

「とりあえず、裕一の顔はまだ、見たくないんだもの……」

今の気持ちを声に出してみる。そして、洗面室へ向かった。せっかく泊まったのに、なにもしないなんてもったいない。わたしは熱いシャワーをゆっくり浴びた。


そこへ再び、携帯が鳴り響いた。
浮かび上がったのはまたしても、上月くんの名前だ。

「蔭山さん。おはようございます。朝早くから申し訳ありません」
「あ……。っ、おはよう、ございます。お疲れ様です」
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