旅先恋愛~一夜の秘め事~
「副社長、落ち着いてください。警察に連絡? ちょっと待ってください! 綿貫さんでしたら今、私と……」
会話の流れから電話の相手が暁さんだとわかった。
大きな声で話しているのか、暁さんが怒っているような声が漏れ聞こえる。
どうしよう、怒らせた?
“大切な人”を間違えて、検討違いの行動をしたから?
堤さんはそんな上司に臆する様子もなく、通話を続けている。
そのとき、私のスマートフォンが麗からの着信を告げた。
「麗?」
『区役所の前に車を停めているの。出てこれる?』
「……来てもらってごめんね、いつもありがとう」
『なに言ってるの。大事な唯花のピンチに駆けつけるのは当然でしょ』
優しい麗の声に胸が詰まる。
区役所のガラス越しに外を窺うと、真っ赤な愛車の運転席に座るハトコの姿が確認できた。
手を振ると、麗も気づいて振り返してくれた。
「……とにかく、今から戻りますから!」
語気荒く、同じタイミングで通話を終えた堤さんにハトコが迎えに来てくれた旨を告げる。
堤さんは慌てて私を引き留めようとしたが、小さく息を吐いて、麗に挨拶したいと言った。
堤さんとともに区役所を出る。
麗は怪訝な表情を浮かべながらもすぐさま運転席から出て、ふたりは名刺交換をしていた。
夜風は体を冷やすからとハトコは私を助手席に押し込んだ。
ふたりはなにか言葉を交わしていたが、剣呑な雰囲気ではなく終始穏やかに見えた。
会話の流れから電話の相手が暁さんだとわかった。
大きな声で話しているのか、暁さんが怒っているような声が漏れ聞こえる。
どうしよう、怒らせた?
“大切な人”を間違えて、検討違いの行動をしたから?
堤さんはそんな上司に臆する様子もなく、通話を続けている。
そのとき、私のスマートフォンが麗からの着信を告げた。
「麗?」
『区役所の前に車を停めているの。出てこれる?』
「……来てもらってごめんね、いつもありがとう」
『なに言ってるの。大事な唯花のピンチに駆けつけるのは当然でしょ』
優しい麗の声に胸が詰まる。
区役所のガラス越しに外を窺うと、真っ赤な愛車の運転席に座るハトコの姿が確認できた。
手を振ると、麗も気づいて振り返してくれた。
「……とにかく、今から戻りますから!」
語気荒く、同じタイミングで通話を終えた堤さんにハトコが迎えに来てくれた旨を告げる。
堤さんは慌てて私を引き留めようとしたが、小さく息を吐いて、麗に挨拶したいと言った。
堤さんとともに区役所を出る。
麗は怪訝な表情を浮かべながらもすぐさま運転席から出て、ふたりは名刺交換をしていた。
夜風は体を冷やすからとハトコは私を助手席に押し込んだ。
ふたりはなにか言葉を交わしていたが、剣呑な雰囲気ではなく終始穏やかに見えた。