旅先恋愛~一夜の秘め事~
その後、堤さんが店を出て行き、私は椿森副社長が最初に座っていた席に移動した。

「いただきます」


「どうぞ」


椿森副社長に勧められ、目の前に並ぶ色とりどりのケーキに目移りしながら口に運ぶ。

絶妙な甘さや口どけでとても美味しい。


「……椿森副社長は召し上がらないんですか?」


「一応ここにある商品は昨夜すべて食べた。だが甘いものが少々苦手な俺にはなかなか判断が難しいんだ」


少し口ごもりながら話す彼の姿に、頬が緩む。


「そうなんですね……どれもとても美味しいです」


「よかった。じゃあこの中で一番好きなものは?」


「これ、ですかね」


彼の質問に、クリームを花の形に模したケーキを選ぶ。


「どうして?」


「花びらがとても可愛らしくて、少し早い春を感じました。それにこのホテルのロゴマークに似ている気がして」


「そうか……言われてみれば似てる、か。ロゴマークを知っていたのか?」


彼が驚いたように尋ねる。


「なんで知ってたんだ? ここのロゴマークは他所と違ってあまり目立たせていないはずなんだが」


なぜかロゴマークについて重ねて問いかけられ、戸惑いつつ返答する。


「私が普段自分用に使用しているマークにとても似ていたんです」


「マークって、どんな?」
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