訳あり子育て中は 御曹司からの猛攻にご注意下さい
私が泣き止むまでじっと待ってくれた淳之介さんに手を引かれてリビングへ戻った。
登生はすでに眠ったらしく、姿はない。
そんな中、食べ終わった食器も登生のおもちゃもきれいに片付いた状態の部屋に置かれた1枚のバスタオルが目に留まった。

「これって・・・」
「うん、登生の宝物」

そう、このバスタオルは登生が生まれた時に姉が買ったもの。
登生はとっても大切にしていて私にも触らせてくれないのに。

「どうして?」
「僕は何も言ってないよ。少しでもきれいにしようと汚れたラグを拭いていたら登生が持ってきたんだ」
「登生が?」
「うん。「よごしてごめんなさい、これでみえないね」って、自分で置いたんだよ」

登生は、3歳児なりに必死に考えたんだ。
私がこの汚れを気にしてあんなに怒ったんだと思って、だから・・・

「ごめんなさい」
「うん。今度辛くなった時は俺に言ってくれる?」
「はい」

もう2度と八つ当たりみたいなことはしない。
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