クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「開店準備は終わった? あら?」
そんな状況を壊すように、店長の声が響いた。
そこで西園寺さんに気づいた店長が驚いた表情を浮かべると、くるりと西園寺さんは私の方へと歩いてきた。
「準備が整ったら、ここへ連絡をしてくださいね」
トンと私の手のひらにメモを置き、クスっと笑うと颯爽と店を後出て行った。
その後ろ姿を見ながら、キュッと唇をかみしめる。
「よくわからないけど、急いで」
時計を見ればもう開店まで数分で、店長に促され私たちは慌てて準備を再開した。
その一日、よくミスもしないで仕事ができたと思う。自分でも心の中は昨日までの幸せな気持ちは一転し、砂をぶちまけたようなザラリとした暗い気持ちが広がっていた。
このままただ好きだからと、一緒にいることが本当に凛久のためになるのだろうか。
そのことが頭をぐるぐると回っていた。