クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「アポなしで誰か社長に会いに来た人は?」

「はい、一度お断りしたのですが、念のため社長に確認したらお会いになるということで……」

そこで少し三人の女性社員は顔を見合わせた。若い女性が尋ねてきたと言いづらいのかもしれない。

「女性ですね?」
「はい」
そこで俺は瑠璃だと確信をする。俺に何も言わずに離婚をして、身を引くつもりだろう。

「まだ帰ってない?」
「はい」
その答えを聞いて、俺は走り出していた。以前この会社にいた時も、戻ってきてからも冷静と言われている俺の態度に、そこにいた社員が驚きの視線を向けていることが分かったが、そんなことは構っていられない。

その時は、瑠璃を捕まえることしか考えていなかった。
役員用のエレベーターに乗り込むと、一番奥の社長室を目指す。ついこの前まではこのフロアにいるだけでうんざりしていたが、今は守りたいものがある。
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