クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
瑠璃はまだいるか尋ねようとすると、目の前から小声だが怒気を含んだ声がする。

「どうしてこんなところにいるんですか?」

「え?」
言われている意味が解らず、俺は佐野に視線を向けた。

「今日、あなたの婚約者という人が来ましたよ。離婚しなければあなたが窮地に追い込まれるとか上月を脅しに」
その意味の解らない言葉に、俺は唖然とする。佐野は俺に注文を聞くことなく、レジから顔を上げると俺を明らかに睨みつけた。

「上月、決着を着けに行くって……」
反射的に、俺は走り出していた。いったい何が起きているのかわからないが、瑠璃が父親のところに行ったことは確かだ。

まさか本当に離婚するつもりなのではないか。
その不安から俺は待機させていた運転手をすぐに呼び戻す。

「すぐに会社に戻ってくれ!」
俺のあまりにも慌てた様子に、車はすぐに動き出した。
吹き抜けのエントランスに入ると、受付の女性に声をかける。
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