クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
我に返り瑠璃が固まったままなことに苦笑しつつ、俺は彼女からそっと距離を取った。

「そろそろ寝ようか」

「えっと、はい」
何を想像したのかすぐにわかるほど、寝るという単語に彼女が反応したことが分かり、俺はクスリと笑ってしまった。
今日はまだここまでだ。もう少し、もう少し瑠璃が俺に心を許してくれたら、今度はもっと距離を詰める。

そう思いながら彼女の瞳を覗き込む。

「何もしないよ」
そう伝えれば、心底彼女が安堵したのがわかる。それがなぜか面白くなくて俺はもう一度彼女の腕を引き寄せてチュッと頬にキスを落としてみた。

「凛久さん!」
それだけで真っ赤になる瑠璃が可愛くて仕方がない。

「ただの挨拶だよ。意識した? 奥さん」
あえて奥さんと呼んだのはもちろんわざとだ。しかし、瑠璃は神妙な顔つきの後、囁くように言葉を発した。

「挨拶……ですよね。それならいいですね」
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