クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
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とうとう抱きしめてしまった。
そう思った時には遅かった。一緒に住み始めてから保っていた距離。
今まで誰にも話したことがなかった自分の思いを口に出したことを後悔した俺は、
『そんな弱いことを言って情けない』、そう瑠璃にも言われる気がして身構えていた。
しかし、彼女の口から出たのは俺を励まし、こんな結婚なのに一緒に父親に会ってくれというものだった。その予想外の言葉に俺はもはや無意識に彼女を抱きしめていた。
ただカフェで話していただけのころより、彼女が大切で守りたくて仕方がない。
瑠璃はただの契約結婚だと信じているようだし、俺を男と意識していないのはわかっている。
それでも少しでも俺を見て欲しくて、抱きしめるのをやめなかった。
抱きしめた腕の中で、身体を固くしていたことにも気づいていた。だから拒否されるのも覚悟の上だった。
しかし……。少し躊躇するも回された瑠璃の手のぬくもりに、俺はそのまま力いっぱい抱きしめた。
そのまま、どれぐらいそうしていただろう。