どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「本当の俺……知りたい?」
夜景を見つめたままの社長が静かにそう言って、私はその横顔の美しさに吸い込まれそうだった。
「知りたい、です」
私の答えに、社長は静かに振り向いて、ちょっと困ったような不思議な表情をした。
「今すぐこんな会社辞めて、どっかに逃げ出したい。本当に自分が愛した人と一緒にいたいし、将来だって自分で決めたい。誰かに決められた道を歩くなんてもう嫌だ……」
「社長……」
寂しそうな悲しそうなその表情を見ていると、抱きしめたくなった。
大丈夫だよって抱きしめてあげたい。
「なんてな。これも、俺の女を口説く時のお決まりのセリフだから。これですぐにみんな落ちるよ」
「え?」
「小久保さんも、俺に惚れちゃダメだよ」
いきなり名前を呼ばれて、驚いた。
社員が200近くいるこの会社で、自分の名前を憶えてもらっているなんて。
「どうして、名前……」
「あ、ああ。さっき、机に名刺があったから」
少ししょんぼりしている私がいた。
何期待してんの、私。