どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「猫、好きなの?」
「は、はい!!猫大好きです」
どうしてバレたのだろうと思ったけど、
私のデスク周りには猫グッズが溢れている。
パソコンのデスクトップももちろん猫だし。
「ふふ。俺も好き」
「社長も猫が好きなんですか?意外です」
社長のイメージで言うと、犬。
しかも、大きい犬。
もしくは、白い馬とか。
「俺が猫好きだったら変かな?」
「いえいえ、変じゃないです!ちょっとイメージと違って」
「はは。だろうね。ま、猫というより猫みたいな女性が好きなんだけど」
と、またイメージを覆す発言をした。
クールだと思っていた神保社長だけど、本当はいろんな顔があるんだろうな。
「社長でもそんなこと言うんですね」
「俺どんなイメージなんだよ。俺だって普通の男なのに。俺って、そんなに怖い?」
そう言った社長の横顔が少し寂しそうに見えた。
高い鼻、切れ長なのに笑うと少したれ目になるところが好きだと思った。
「怖いというか近づきにくい雰囲気はあります。あ、それは社長だから当たり前ですよね。すいません」
「ははは。それなら、俺の作戦が成功してるってことだな」
ニヤリと口角を上げた社長は、立ち上がって窓の方へと歩き出す。
そして、振り向いて、見たことのない柔らかい表情で私を見た。
「俺、見ての通りイケメンだからさ。女性関係でもめたくないから、モテないように演じてるんだよ」
「えっ!!そうなんですか?」
「社長ってのも肩書きばかりの雑用みたいなもので、逃げ出したくなるよ」
「社長、本当の社長ってどんな方なんですか」
ほんの数分話しただけなのに、私の憧れは恋へと変わっていた。
それは、私の胸の鼓動と、顔の火照りが物語っている。