どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
奮発して焼肉に連れて行ってくれた佐竹さん。
お店に着くなり、二人に昨日のもやもやを打ち明ける。
「男には、連絡できない時ってあるんだよ」
「どんな時だよ!それ、男の言い訳!」
佐竹さんの隣で吉岡先輩はプンプン怒ってくれていた。
「男って、バカなんだよ。やっぱり。女に比べたら、多分バカ。だから、そこまで気が回らない時がある。許してくれるだろうっていう安心感もあるだろうと思う」
圭史さんの肩を持ってくれる佐竹さんも優しくて素敵だなと思った。
「でも、あたし、いつも思うんだよね。トイレとかで電話できるだろって。メッセージを打つのに1分もかかんないじゃん?それを連絡しないって、どーいうこと?」
「それなんすよ。それ。俺もよく吉岡さんに怒られるけど、その場ではそこでの盛り上がりとか楽しさとかで忘れちゃうこともある。俺の場合、気を使う相手との飲み会とかだと、忘れちゃう。そっちに神経がいっちゃって」
圭史さんもそうなのかもしれない。
あの日は、取引先のパーティーで名刺交換しまくっただろうし、気も使って大変だったと思う。
「ふたりともありがとうございます。私が、もっと強くドンと構えていないと、社長と付き合うなんて無理ですよね」
「愛されてるんだから、信じた方がいい!神保社長は、絶対浮気とかしねーから!男から見ればわかるよ」
佐竹さんのその言葉に、安心したと同時に社員からそう思ってもらえる社長って幸せだなと思った。
吉岡先輩のお皿に、牛タン用のレモンを絞る佐竹さん。
レモンは手が汚れるから吉岡先輩は絶対触らないんだって。
「信じてても不安になるのが女なの。だって基本、男って性欲の塊だから。目の前に可愛い子がいたらどうなるか分からない」
「え?」
と、目を丸くした私に
「嘘よ。社長は大丈夫。一般的なバカな男の話よ」
と、佐竹さんに視線を向ける。
「俺だってしないよ。したくなっても、その後、自分が何を失うのかって考えたらできない」
「なに?したくなることあるんだ~!佐竹のくせに」
吉岡先輩は、佐竹さんの髪をいじる。
「例えですよ。例え!俺、浮気なんかしたら、吉岡さんに何されるかわからない」
「何もせずに、ただあんたの前から消える」
「それ、一番怖い……」
こうして話を聞いてくれる人がいる。
支えてくれる人がいることのありがたさを感じる。
今日、ひとりにはなりたくなかったから、こんな笑顔で過ごせていることに感謝、だね。