どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~


「夜はキャンプファイヤーやるらしいですよ。これだけ大勢だとキャンプも盛り上がりますね」

「ほんとにそうだね~!キャンプファイヤーなんて何年ぶりだろ」



キャンプファイヤーと聞いて思い出すのも、またサッカー部の彼のことだった。

サッカーばかりだった彼とは手を繋いだこともなく、付き合っているのに恋人らしいことは何もなかった。


でも、一回だけ……。
修学旅行のキャンプファイヤーで、フォークダンスを踊り、初めて手を繋いだんだった。

その後、私を探しに来てくれて、手を繋いで夜道を歩いた。

みんながキャンプファイヤーを楽しんでいる間に、こっそり……初めてのキスをした。



「小久保さん、さっき社長が探してたよ。花火の代金がどうこうって言ってたよ」

「あ、はい。ありがとうございます」 


隣にいた秘書課の女性が教えてくれた。

私がいないことに気付いて、探しに来てくれたのかな。

圭史さんを探すと、男性社員たちと中央でキャンプファイヤー用の薪を組んでいた。


あとにした方が良さそうかな……。

そう思って部署の人たちと団欒していると、秘書課の人たちが集まってきた。


「新人君、かわいい~!今度、私達と飲みにいかない?」


新井君は、超肉食の秘書軍団にビビりながらも、上手に返事をする。


「それはありがたいお誘いです。でも、お酒そんなに強くないんで、すぐ酔っちゃいますけど、襲わないでくださいね」

「やだ~!かわいい。みんなで襲っちゃう?」

「秘書課の皆さん、お綺麗な方ばかりなんで光栄ですけどね」


盛り上がりつつも、困った顔をした新井君は、隙を見て男性陣の方へと逃げた。




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