どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~


「小久保さん、新井君と付き合ってるの?なんかイイ感じだったけど」

「そんなわけないじゃないですか。かわいい後輩ですけど」

「そっか~!社長も、勘違いしてると思うよ。ふたりで消えましたって言っちゃったから」

「え~!そうなんですか」

「だって、吉岡達も消えてるからてっきり、こっそりどっかでイチャイチャしてんのかと思った」


吉岡先輩と佐竹さんはまだ戻っていない。


確かに遅い。

きっと、ふたりでラブラブな時間を過ごしているんだろうな。



と、それよりも、早く圭史さんと話したい。

ひとりになるタイミングを狙っていたけど、全然ひとりにならない。

私は、勇気を出して圭史さんの元へと近づいた。


「社長、ちょっといいですか」


私は、吉田さんと談笑していた圭史さんが飲み物を取りに出てきた隙に声をかけた。


「あ、誰だっけ?」

この~!!いじわる!!

「営業部の小久保です」

「ああ、小久保さん。何か用?」


これ、仲がバレないようにっていう配慮じゃなく、絶対にさっきの仕返しだと思う。

だって、ニヤって笑ったもん。


「受付の人がキャンプファイヤーの件で話があるって」

「あ、そう。わかった」


持っていた缶をクーラーボックスに戻し、吉田さんに一声かけて私の後ろをついてくる。

テントから離れ、人もあまりいなくなり、圭史さんが背後から声をかける。


「お前、演技下手すぎ。しかも、呼び出す理由も微妙で笑える」

「だって、ずっと圭史さんみんなといるから話しかけられないし」

「別にいいじゃん。そっちはそっちで楽しめば」


冷たくそう言った圭史さんは、私を抜かして歩き出す。





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