どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「話が!!話があります」
「何、さっきの言い訳?」
振り向いた圭史さんの顔は、私を疑っている顔だった。
いや、違う。
不安、なのかな。
「ほんとにほんとに、誤解しないで」
「わかってるよ。じゃ、あっちで話す?」
圭史さんが指さしたのは受付の奥に広がる小さな丘。
「丘の向こうならバレない」
「はい」
丘をのぼりながら、背中を見つめた。
穴が開くほど見つめた。
私はこの背中が好きで、この人がほんとに大事で、失いたくない。
新井君には申し訳ないけど、私にはこの人しかいない。
芝生に腰を下ろし、フーっと息を吐いた圭史さん。
「座れば?」
冷たい口調にドキドキする。
「俺がいる場でよくあんなことできたな」
「ごめんなさい。ちょっと話があるって言われて、相談かなって思って一緒に散歩してただけ……っ、んっんぅ」
言い終えると、私の唇は圭史さんに奪われていた。
優しいキスじゃなく、とても激しく怒りを感じるキスだった。
唇を噛まれる。