どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
次の日、私は空港からすぐの場所にあるカフェで圭史さんを待った。
取締役と、部下数名との出張だから、私はここでひっそりと待つ。
ガラガラとスーツケースを持つ人々が通る。
もうすぐ会えると思うだけで、体がドキドキして……
おかしくなりそう。
圭史さんの声、早く聴きたい。
「お疲れ様です。社長、タクシー一緒に乗りますか」
聞き覚えのある声が聞こえて、声の主を探す。
営業部長だ。
俺はいいよ、という素振りをした圭史さん。
その後ろに知らない人がふたりいて、そのうちひとりは女性だった。
肩までの髪、仕事できますって雰囲気のキリっとしたメイクのスレンダーな人。
何やら、圭史さんに話しかけている。
にこやかに答える圭史さんに、紙を渡し、圭史さんの腕に触れ微笑んだ。
先に歩いていた部長達がそれに気づき、戻ろうとするのを女性が止めて、頭を下げた。
そして、その女性ともうひとりの男性は、圭史さんに手を振り、去っていく。
なんだかな。
たったこれだけのことで、いろんな想像しちゃう私は、ダメだな。
見るんじゃなかった。
あんなこと、日常茶飯事だし、仕事上のことであって……