どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「よ、お待たせ」
カフェに入ってきた圭史さんは、ふくれっ面の私の顔を見て、不思議そうに首を傾げた。
「万由、どーした?」
久しぶりに見る圭史さんは、とても素敵だった。
いつもより少しナチュラルな髪型も似合っている。
「社長、お疲れ様です。あと3分したらいつもの私に戻ります」
「じゃ、俺も同じの飲もうかな。それ何?」
私の飲んでいる飲み物を指さした。
「ベリースムージーです。甘いけど大丈夫?」
「おう、甘いの欲しい気分だから」
注文しに行く圭史さんの後姿を見つめながら、反省する。
何日も出張で疲れている彼氏が帰ってきたのに笑顔で迎えられないなんて最低……
「圭史さん、お帰りなさい!さっきはごめんなさい。改めて笑顔でおかえり」
満面の笑みで、迎えてみる。
「ただいま。今日のお前、変だぞ?」
「そういえば、今日はコーヒーじゃないの?」
「もう、コーヒーばっかり飲み過ぎて気持ち悪い。この出張、本当に疲れた」
スムージーを唇につけたまま、天井を見上げる圭史さん。
「お疲れ様。しばらくはゆっくりできる?」
「そうだな。しばらくは出張もないよ。あのさ、さっき、もしかしてやきもち妬いてたのか?」
「……」
「図星だな」
はははは、と笑う。
「あれは、昨日から合流した取引先の人で、もう結婚して子供もいるバリバリのキャリアウーマンだよ」
ホッとしつつも、そんなことを言わせてしまうバカな自分を責める。