どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「で、さっきこんな紙をもらったけど、今すぐ捨てる予定で、それでも安心できない?」
私の前に出された紙には、
【婚活パーティー スプリング祭】
と書かれていた。
「俺に早く結婚しろだのいろいろうるさく言ってくるんだよ。それで、あの会社の系列のパーティーの紙を渡されただけだ」
「ごめんね、圭史さん。私、ダメダメ彼女だぁ」
「そうだな。あんなことで妬いてちゃ心臓がもたねぇぞ。でも、そういうのも嫌いじゃない」
手を伸ばして、私の唇にそっと触れた。
「俺は、仕事ではいろんなお店も行くし、女性と接することもある。秘書に飯をおごったり、用事があれば電話することもある。クラブのママに、別れ際に抱きしめられることもあれば、キャバクラで体を寄せられることもある。でも、それは社長としての仕事の一環だと思ってる」
唇に触れた指をそのまま頬に持ってきて、頬を指で撫でる。
ゾクっとした。
「本当の俺はここにいる。社長でもないただの俺は、万由の前にだけいる。そのことを忘れないで」
耳に触れた指は、ゆっくりと耳たぶをなぞり、耳の穴の中へ。
「こんなに愛してるのに、不安になる。万由は、ほしがりやさんだなぁ」
「ごめんね」
「こうしてるだけでもう感じてるって俺は知ってる」
「感じてないもん」
「確かめてもいい?」
いじわるな笑みを浮かべ、私の頬をつねる。
再会後のひと時を楽しんで、私達は、賑わうカフェを出た。