記憶の花火〜俺が暴いてやるよ、欲望にまみれた秘密を〜
「食べれませんよっ、あんなの見たら。ビビンバが限界です」 

「そう。僕は、刺殺体上がった時は、焼肉って決めてるから」

「何でですか?」

怪訝そうな顔をした相川が、千夏に、視線を合わせた。

「願掛けかな。刺されて、内臓出された被害者の無念を思いながら、こうやってホルモン食べることで、何ていうかさ、自分の腹ん中に黒いモンを溜めていくっていうかさ……」

「それって……殺意溜めてるってことですか?」

声を顰めた相川に、千夏は、形の良い薄い唇を引き上げた。

「仮にも僕、刑事なんだけど?殺意ってよりは、復讐心に近いけど。ま、被害者の為に、犯人を、挙げることに全力注いでるってコト」

千夏は、あっという間に白飯も、並べられたホルモンも食べ終わると、席を立った。

「ちょっ……待ってくださいよっ」

相川が、汗をかきながら、運ばれてきた石鍋の中のビビンバをかき混ぜている。

「てゆうかさ、暑くないわけ?」

ネクタイを胸ポケットに、半袖シャツ姿の千夏に対して、相川は、汗をかきながらも胸元の、ボタンも外さなければ、長袖の白いシャツも捲ろうとしない。

「……何処見てるんですか?セクハラですよ」

僅かに間があって、相川は、千夏を一瞥すると、再びビビンバを目を移し、スプーンで小さな口に放り込む。

「ふうん……そりゃ悪かったな」

相川は、このクソ暑い真夏も、長袖しか着てこない。
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