大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 お手洗いに行く道中、咲子がお手洗いに行くのを我慢していた話をすると、彼女は軽やかに笑って言う。

「嫌ですわ、咲子さま。
 咲子さまがお手洗いにお行きにならないのでは、というのは、物の例えですよ。

 そのくらい、咲子さまが浮世離れしていてお美しいという話です」

 二人で楽しく豪奢なお手洗いを堪能し、

「今度ご一緒にお茶でも」
と約束して別れた。

「お帰り。
 これで心置きなく呑めるだろう」
と行正が葡萄酒のグラスを渡してくる。

 そう。
 さっきから、お手洗いを我慢していたので、あまり呑まないようにしていたのだ。

 渋いが美味しいそれに口をつけながら、咲子は行正に感謝したあとで言う。

「……行正さんは、なにもかも私のこと、お見通しですなんですね」
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