大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
「あ、えーと、ルイス先生は、いつから文子さんのことを?」

 口に出して行正が訊いてこないうちに、咲子はルイスに話を振った。

 ルイスは文子の手をしっかり握った状態で言う。

「いえ、別に文子サンを好きとかなかったんですけど。
 良い生徒のひとり、という感じで。

 でも、文子サンのお父様からパーティに招かれて。

 ふだんは控えめな装いの多い文子サンが、艶やかな着物を着て。
 いつも違う雰囲気で。

 綺麗だな、文子サン。
 この人、もう人のモノになってしまうのかと思ったら、寂しくなって。

 つい、手をつかんで『ワタシと逃げましょう』と言ってしまったんです」

 ははははは、とルイスは笑う。

 この二人は大丈夫だろうか……。

 咲子も行正も不安しかない気持ちで二人の式に立ち会った。



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