大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
「いえいえ、私のつたない絵では、行正さんの良さを百万分の一も表せてませんよ」

 咲子は照れもせず、真顔だった。

 本気のようだ。

「そうだ。
 行正さんも、ちょっと私の似顔絵描いてみてくださいませんか?」

 ひょい、と咲子は紙とペンを渡してきた。

 行正は困る。

 実は絵だけは、あまり得意でなかった。

 だが、咲子は期待に満ちた眼差しで見つめている。

「まず、丸いだろ」
と行正は咲子の人の良さそうな輪郭を描いた。

「眉がへの字で」

 へ、をふたつ並べて描く。
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