大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
「目はいつも笑っている」

 その下に、へ、をもうふたつ描いた。

「鼻は小さく」

 点をひとつ描く。

「口元もいつも笑っている」

 へ、を逆さにしたようなものを点の下に描いた。

 顔周辺に、ぐるっと楕円の半円のようなものを描いて髪とする。

 夫婦で覗き込んだ。

「……誰なんだ、これは」

「なんなんだ、これは、の方が正しいですよ、行正さん」

 雑なへのへのもへじか、なにかの記号のようなものがそこにあった。

 国道1号、あっちこっちそっち、とか矢印がしてある道路方向標、今でいう案内標識にも似ている。
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