大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
……しまった。
余計なことを言ってしまった。
行正の横から絵を覗き込んでいた咲子は固まる。
なんでもできる行正さんの絵を罵ってしまった。
そこのサーベルで斬られるだろうか、と行正に訊かれたら、
「いや、無礼があるたびに、お前を斬っていたら、お前はすでにザクザクに斬り殺されている」
と言われそうなことを思う。
このサーベル。
サーベルなのは見た目だけで、中身は日本刀なので、すっぱりよく斬れる。
行正はチラとこちらを窺って言った。
「俺は絵は苦手なんだ」
「そっ、そうなのですかっ。
行正さんにも苦手なものとかあるのですねっ」
いつ殺られるかと警戒しながら、咲子は慌てて言う。