大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
「おかしいな。
 お前の特徴をよく表していると思うんだが」

「……確かに、今、口で説明されていた言葉は、私そっくりな感じでしたけどね」

 描きながら行正が呟いていた咲子の顔の特徴は、ぼんやりした咲子の雰囲気をよく表していたが。

 何故か、できたものは、道に立ててある案内標識だった。

「そうだ。
 お前、よく舶来ものの大きなリボンをつけてるじゃないかっ。
 あれを描いてやろう!」

「あ、そうですねっ。
 あれ、つけたら、きっと私っぽくなりますよねっ」

 行正は咲子によく似合う大きなリボンを描いた。

 案内標識の上に、誰かの忘れ物のリボンが載ったみたいになった。

「……」

「……江戸で、この人相書で手配しても、きっと誰も捕まりませんよね」

 咲子は頷きながら、そう冷静に呟いていた。






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