大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
それからしばらくして、三条家から連絡があった。
行正との住まいとなる家を見て欲しいというのだ。
まあ、気に入らなくても断れませんけど、と思いながら、咲子はその日を迎えた。
でも、これから暮らす家を見ることより、今日、行正さんが迎えに来てくださることの方が緊張するんですけどっ。
こんな状態で、私、この先、行正さんと暮らしていけるのでしょうか?
心臓がバクバクしながら待っていると、行正は黒塗りの電気自動車で迎えに来てくれた。
見た目は馬車のようでもある。
なんか行正さんに似合ってるな、と思った。
行正は運転手が開けてくれたドアの前で、少し迷ったあとで、手を差し出してきた。
――親も見送りに出ているし、仕方ない。
ここはエレガントに行くか。
という行正の心の声が聞こえてきた。
行正に手を借り、馬車のような車に洋装で乗る咲子を見た真衣子が声を上げる。