青い星を君に捧げる【零】
「……私に何かあったら、そうしたら、お父さまは心配してくれるかなって。私を見てくれるかもしれないって思って……それで」


ぴたりと佑真の軽やかな足取りが止まった。同時に彼は振り返ると、険しい表情を浮かべていた。


「ダメだよ。自分を大切にしないと」


「でも……」


「でもじゃないです。あなたを大切に思ってくれてる人が傷付きます」


初めて誰かに怒られた気がする。怒るってほどでもないのかもしれないけれど。私にとって自分の言葉を否定されることは慣れない経験だから。


見上げると表情が柔らかくなった彼が私の頭をわしゃわしゃと撫でる。


他の誰とも違う距離感がむずがゆくて、それでいて心地よくて。佑真は私が本郷家の姫であることを知っているけれど遠慮なしで向き合ってくれる。



「……ごめんなさい」


ぽつりと落とした一言に彼はハハッと笑う。頭から手が離れる。


「俺も言えた立場じゃないからな。だけどまあ、今度外で遊びたくなったら俺と一緒に。ね?」


私が頷いたのを確認すると佑真は再び歩き出した。色々聴きたいことがあるのに言え出せない。まるで彼がそう思わせるように壁を作っているように。
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