婚約破棄される未来を変える為に海に飛び込んでみようと思います〜大逆転は一週間で！？溺愛はすぐ側に〜
「この数日間は僕にとって夢のような時間でした……本当にありがとうございます。マデリーン様」

「はい………」

「ずっと……ずっと、貴女の瞳に映る日を夢見てきました」


そう言われて思わず顔を伏せた。

こんな真剣に考えていたドウェインに対して嘘をついていることは失礼ではないか……そう思った。
申し訳なさで頭が一杯になっていた時だった。


「…………貴女の優しさにつけ込む僕を許して下さい」

「……？」


そう言われて訳が分からずに顔を上げた。
ドウェインの手が伸びて、髪を一束取って唇を寄せた。
その仕草に釘付けになっていた。

長い睫毛が開いた瞬間……紫色の瞳が真っ直ぐ此方を見つめていた。
薄い唇が開いて、低く力強い声が耳に届いた。


「貴女を愛している……心から」


熱い視線が、紡がれる言葉が……その想いの強さを証明してくれているようだ。
ボッと音が出るほどに赤くなった頬を見てドウェインは柔らかく笑った。

そして「また明日来ます」と言って部屋から去って行ってしまった。

高鳴る心臓は抑えられそうになかった。
名残惜しく離れた熱を求めるように無意識に髪に手を伸ばした。

(愛してる……？も、もしかしてドウェイン殿下がずっと婚約者が居なかった理由は……)

自らを落ち着かせるように胸元に手を当てて深呼吸をした。
先程の言葉が、ずっと頭から離れなかった。

(ドウェイン殿下……本当にごめんなさい。ずっと約束を守って下さってありがとう)

夜……古びた日記帳を開いて今日の出来事を書き込んでいった。
書き終えた日記を抱きしめて温かい気持ちで眠りについた。
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