婚約破棄される未来を変える為に海に飛び込んでみようと思います〜大逆転は一週間で!?溺愛はすぐ側に〜
(……花魔法って、こんな使い方も出来るのね。こうやって花をばら撒きながら索敵しているのかしら?)

こんな時に限って、誰も屋敷にはおらず出払っていた。
父は学園に向かい、母は父の代わりに仕事を片付けて、兄もそろそろ騎士団に顔を出さなければと出かけて行った。
午後までには帰ると言っていたが、丁度予定が被っていた。

明日は皆でマデリーンの卒業をお祝いしたいから、と従者達も大半は買い出しに出掛けていた。

「マデリーン様と会わせてくださいッ」
「どうしてもお話がしたいんです!!」

侍女や護衛達が制する言葉を無視して、一方的に投げかけられる言葉。
此方の話を聞く気がないのか、自分の話をすることに一生懸命なのかは知らないが、許可もなしに勝手に屋敷に上がるなど非常識にも程がある。

(ローズマリー様に常識を求めても仕方ないのかしら……)

それは学園で時間を共に過ごしていた時に判明している事である。
何かを言う度に「酷い」「マデリーン様は私が嫌いなんですか?」「怖いです」と言われた事を思い出す。

向こうからしたら此方が悪役なのだろうが、皆が暗黙のルールやマナーを守っている中、分からないからといって規律を破っていい訳ではない。
それに暫くはシーア侯爵邸でマナーを身につけたと本人は自慢気に言っていたが、とてもそうは思えなかった。
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