恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「それじゃあ、俺は行くけど、美鈴はちゃんと休むこと。保育園には休むって連絡してある。会社の方は菊池経由で高野部長に伝えるから」
 一条くんの言葉を聞いて青ざめる。
「ちょっ……それはやめて。変な噂が立つよ。会社は私から連絡するから」
 副社長秘書が私の欠席を部長に伝えるっておかしい。
「俺は別に構わないけど」
 平然とした顔で返す彼に拳を握って訴えた。
「私が構うの。働けなくなっちゃう」
「わかった。でも、親父にはそのうち紹介するから。行ってくる」
 彼が身を屈めたと思ったら、チュッと私にキスをした。
「い、一条くん? 新婚じゃないんだから」
 自分の唇に触れながら文句を言うが、彼が至極楽しそうに笑うだけ。
「でも、恋人役なんだから俺に慣れてくれないと」
 高校時代はこんな風に笑う人だなんて思わなかった。
 クールな印象しかないけど、この数日間で彼のいろんな表情を見た気がする。
「今日は遅くなるから寝てていいよ」
 今度は私の頭に口づけると、彼はいなくなった。
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