恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「お兄さん、ぬいぐるみありがとう!」
 弟の声で目が覚めた。
 すでに起きてスーツに着替えている彼に歩が喜々とした顔であの大きなぬいぐるみを見せている。
 こんなに子供みたいにはしゃぐ弟を見ることは滅多にない。
 よっぽど嬉しかったんだろうな。
「どういたしまして」と一条くんが微笑むが彼も弟の満面の笑顔を見て嬉しそうだ。
「美鈴〜、こんなすごいのもらちゃった。ポポって言うんだ」
「もう名前つけたんだ。よかったね」
 ベッドを降りて歩の頭をクシュッとすると、弟は「うん」と返事をして寝室を出ていく。
「一条くんありがと。歩すごく喜んでた」
 寝癖を直しながら礼を言ったら、彼が私のところにきて悪戯っぽく目を光らせた。
「感謝してるなら言葉じゃなくて、キスの方がいい」
 彼が身を屈めて私の唇を奪う。
 それは一瞬の出来事。
 ハッとして「もうそんなキスばっかりしないで!」と顔を赤くしながら文句を言ったら、一条くんに真剣な顔で返された。

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