恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 私……朝までこの状態かも。
 ひとり悶々としていたら、一条くんがベッドに入ってきた。
 慌てて目を瞑って寝た振りをするけれど、彼にはバレていた。
「ここにかわいいタヌキが一匹いる」
 笑いを含んだ声で言って、彼は背後から私を抱き寄せる。
 彼の吐息首筋にかかってもう気が変になりそう。
「い、一条くん、それダメ」
 弱々しい声で訴えるが、彼は私を離してくれない。
「ダメじゃない。昨日もこうやって寝たよ」
「それは私が熱があったから!」
 声を上げて言い返したら、彼にやんわりと怒られた。
「シッ! 興奮しない。俺も今日はクタクタなんだ」
 クタクタと言われてはじっとしているしかない。
 しばらく大人しくして、彼が寝たらベッドを抜け出そう。
 そう思っていたのに、彼に抱きしめられているとなんだか心がホッとして身体から力が抜けていく。
 歩を抱きしめて眠るのとはまた違う。
 守られているような安心感。
 ずっとこのままでいたいと思える。
 そのまま彼の腕の中で眠ってしまい、次に目を開けた時には朝になっていた。
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