恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
よかった。高校の時の同級生だってバレていない。
「お待たせしてすみません。スイートから来ました……み、あっ、綾乃です。アヤトさんですよね? よろしくお願いします」
 一瞬自分の名前を言いそうになって、咄嗟に母の名前を伝えた。
 本名を一条くんに知られるのは避けたい。
「はじめまして。アヤトです。時間通りです。どうぞかけてください」
 一条くんは自分の腕時計をチラッと見ると、私に椅子を勧めた。
『はじめまして』ってことは私に気づいていない。
 これなら大丈夫そうだ。
「はい、失礼します」
 軽く頭を下げて椅子に腰掛ける。
 このやり取り、まるで面接だ。
「なにか頼みますか?」
 一条くんに紳士的に聞かれ、「では、ホットコーヒーをお願いします」と答えると、彼が店員を呼んで注文する。
 基本、レンタル彼女の交通費や食事の費用は依頼者負担。
 あとうちでの決まり事項としては、キスや過剰なボディタッチ、それに性行為は禁止。手つなぎに関してはキャストの女性に任せているらしい。
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