恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
私が返事をすると、絢斗も私の手を握り志乃さんに声をかけた。
「では、志乃さん、また後で」
「はい、もし美鈴さんの着物が着崩れたら、絢斗さんが直して差し上げてくださいね」
 志乃さんの言葉に絢斗が笑顔で頷いた。
「ええ。わかってます。じゃあ、行こう」
 マンションを出ると、歩いて十分ほどの距離にある神社に向かう。
「雪が降らなくてよかったな」
 ふと空を見上げて言う絢斗の言葉に頷いた。
「本当に。雪だったら着物着れなかったかも。絢斗と歩が晴れ男なのかも。ふたりと一緒にお出かけするといつも晴れてるもん」
 大晦日の夜は寒くて雪がちらついていたのだけれど、今日は空に雲ひとつない快晴。
「確かに傘いらないね」
 歩が私の言葉に笑顔で相槌を打つ。
 しばらく歩くと神社に着いたが、四十段はありそうな石段があって、思わず苦笑いした。
「これはなにか試練なのかしら」
「この神社石段があったのか。タクシー捕まえて別の神社行く?」
 絢斗が気遣うが、「ありがと。でも、石段登ってみる」と力こぶしを作って見せた。
 
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