恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 これを登ったら絢斗と一緒にいる自信に繋がるかも。
「美鈴、腕細い。全然筋肉ないよ」
 歩が突っ込むと、絢斗もゆっくりと頷いた。
「確かにないな」
「とにかく行くよ」
 私が先に石段を登るとふたりが後からついてくる。
 ちゃんと着物を着るのが初めてだからやはり石段を登るのは大変だった。
 絶対に帯緩みそう。
 十段登って小休止する。
「美鈴、頑張れ」
 絢斗と歩が私にエールを送る。
 一段一段ゆっくり登って残りあと十段。
 洋服ならちょっと疲れたで済むのに、着物だと疲労が半端ない。
 やはり大股で動けないせいだろう。
 息を整えて再び登るが数段登ったところで身体のバランスを崩した。
「キャッ!」と叫んで後ろに倒れそうになる私を絢斗が咄嗟に両手で支える。
「危ない!」
「あ、ありがと。落ちたら危なかった」
 後ろの石段を見て青ざめる私を絢斗が抱き上げる。
「え?」
「ここからは共同作業ってことで」
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