恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 ついに観念して認めて手を差し出すが、彼は返してくれない。
「美鈴が作ったのなら食べるよ。味が俺好みなのはキスしてわかったし。ありがとう」
「絢斗、で、でも無理しなくても」
「無理してない。俺からもプレゼントがあるんだ」
 甘い目で微笑んで彼はブラウニーを一度キッチンのテーブルに置くと、私を連れてリビングに移動し、ソファに座らせる。
「どうしたの?」
 首を傾げて絢斗に尋ねると、彼はスーツのポケットから真紅の小箱を取り出し、中を開けた。
そこにあったのは、キラキラ光るダイヤの指輪。
「絢斗……」
驚く私の左手を掴んで、彼は薬指に指輪をゆっくり嵌めていく。
滑らかなプラチナの台にダイヤが埋め込まれていて、シンプルなデザインながらもエレガントな指輪。
「美鈴、結婚しよう。返事は「はい」しか受け付けないから」
 悪戯っぽく微笑みながら絢斗がプロポーズする。
 もう彼の父親や祖父に紹介され、結婚式の予定も絢斗や菊池さんに今年の六月くらいと決められ外堀をすっかり埋められた状態だったけれど、こうして婚約指輪をもらってプロポーズされると感極まってしまい、言葉がなかなか出てこなかった。
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