恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 絢斗が手を伸ばして私の口元を指で拭ったかと思ったら、その指をペロッと舐めて……。
「これだけじゃ味がわからないな。なに隠してるの?」
「本当になんでもないの。気にしないで」
 絢斗の顔が近い。しかも、目がキラーッて光ってる。
 首を左右に振って否定するが、彼はひき下がらない。
「すっごく気になる。教えてくれないなら、自分で確認するまでだよ」
 ニヤリとして彼が私の唇を奪う。
「んんっ……」
 くぐもった声を上げたらすかさず絢斗が舌を入れてきて、隠し持っていたブラウニーがボトッと床に落ちた。
 だが、キスを深めて彼は構わず口内の探索を続ける。
 口の中が熱い。
 身体の力が抜けて腰が抜けそうになる私を彼が咄嗟に支え、床に落ちたブラウニーに目を向けた。
「ああ、バレンタイン」
 絢斗はブラウニーを拾い上げて尋問を続ける。
「なにを隠してるかと思えば、俺に作ったの?」
「そうだけど、いいの。勢いで作っちゃったけど、絢斗バレンタインとか苦手でしょう? だから、これは私と歩で食べるから」
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