恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 俺を楽しげに弄る彼をギロッと睨みつけた。
『からかうなよ。定時後、芹沢美鈴をここに連れてきてくれ』
 本当は今すぐにでも呼び出したかった。
 だが、今日は月曜で定例会議や他の予定も入っていて動かせない。
 定時になって拓真に美鈴を連れてこさせ、俺がレンタル彼女の専属契約の話をして歩と別れさせようとしたのだが、彼女の口から『保育園』という言葉が出てきて……。
「早く行かないと保育園がしまっちゃう!」
 半ばパニックになっている美鈴の声でハッと我に返る。
「待って。車で送るから落ち着けよ」
 この慌てよう。
 歩というのは彼女の子供なのだろうか。
 美鈴の手を掴んで副社長室を出ると、拓真が廊下で秘書の女の子たちを楽しげに「週末どう?」とか話をしていたが、構わず声をかけた。
「菊池、今すぐ車の用意を」
「了解」
 フッと笑みを浮かべ、拓真はスマホを出してどこかに電話をかける。
それからすぐに俺と美鈴と拓真の三人で正面玄関に移動し、停まっていた社用車の前で「乗って」と美鈴に声をかけた。
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