恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
4、最悪の事態を救ってくれたのは……
「クシュン。やっぱり最近寒いね。そろそろこたつ出そうかな」
朝食後ブルッと震えながら、窓の外に洗濯物を干していたら寒気がした。
昨日、一条くんに彼のいる会社で働いていることやこのボロアパートに住んでいることがバレてしまったが、我が家はいつもと変わりない。
「そう? 今日は昨日より温かいよ。美鈴、風邪引いた?」
 保育園に行く準備をしている歩の言葉を聞いてくつ下を干していた手が一瞬止まる。
 なんだか寒気がして身体がダルいのは風邪だから?
 いやいや、私は風邪なんか引かないし、引く余裕もない。
 ブンブンと首を横に振ると、笑顔を作った。
「風邪引いてないよ。お姉ちゃん冷え症だからそう感じるのかも」
「じゃあ、温かいもの食べないとね」
 洗濯物を干して窓を閉めると少しホッとした表情の歩を背後からギュッと抱きしめる。
「そうだね。今夜は鍋にしようかな」
 歩とこうやって触れ合っている時が幸せ。
「ねえ、歩は今年のクリスマスはサンタさんになにをお願いするの?」
 
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