恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 去年は星の図鑑だった。
「今年はね、美鈴の彼氏」
 歩が私の方を振り返ってニヤリとする。
「ええー。それは無理だよ。歩が欲しいものにしなよ」
 普通、歩くらいの子は戦隊もののグッズが欲しいとかゲームのソフトが欲しいとかいうのに。
 それに、サンタが私ってもう気づいてるようなのよね。
「美鈴の弟としては、美鈴の将来が心配」
 まるで兄のような口調で歩に言われ、ハハッと苦笑いした。
 どこでこういう言葉覚えてくるのか。
 弟を保育園に送り届けると、いつものように会社に出勤した。
 だが、まだ仕事もしていないのに疲れている。
 やっぱり風邪? コート着ないで出歩いたのがよくなかったかな。
 あっ、一条くんにコートもらうの忘れたし、お金も受け取っていない。
 昨日はお互い誤解も解けて笑って別れたけれど、相手はうちの会社の副社長。
 気軽に会える人ではない。
 秘書の菊池さんにお願いして社内便でコートを送ってもらおうかな。
 
 
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