恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
私が副社長室にそう何度も行ったら目立つだろうし。
 お金は叔父さんに回収してもらおう。
 いろいろ悩むと体力を使う。
 ハーッと盛大な溜め息をついたら木村くんが現れた。
「おはようございます。芹沢さん、昨日、大丈夫でした? 副社長に呼ばれるなんて今までなかったじゃないですか」
 ああ、そうだった。
 菊池さんに連行されたんだもん。そのまま帰ったから心配かけただろうな。
「お騒がせしちゃってごめんね。実は副社長は私の高校時代の同級生で、席も隣だったの。でも、相手は副社長だからずっと顔合わせることがなかったんだけど、先日ばったり会っちゃって」
 苦笑いしながらレンタル彼女のことに触れず差し障りのない程度に事情を話したら、彼がかなり驚いた顔をした。
「あれっ、じゃあ白井さんも副社長と同級生ですか? 確か同じ高校って言ってましたよね?」
「私がなに?」
 咲が出勤してきて、自分の席に着きながら木村くんに目を向ける。

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