恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「それ俺やるんで帰ってください。倒れたら歩くん迎えに行けなくなりますよ」
 どっちが先輩かわからないな。
「木村くんがいい子で助かる。ありがとう」
 心から感謝してお礼を言ったら彼は数秒絶句した。
「いい子って俺、二十六ですよ。さあ帰ってください。帰ったらちゃんと薬も飲んでくださいよ」
「木村くん、いいお母さんになれるわよ」
 私の横にいた咲も突っ込むと、木村くんはすねた。
「はいはい、もうお母さんでいいですよ」
 ふたりが笑わかせてくれたお陰で、少し気分が楽になった。
 それからすぐに会社を出ると、歩のお迎えに行く。
 保育士さんから今日の様子を聞いて歩と保育園を後にすると、どっと疲れが出た。
 アパートに帰る途中、コンビニがあって立ち止まる。
「ねえ歩、今日の晩ご飯、コンビニのお弁当でもいい?」
 もう晩ご飯作る気力がない。道端で寝てしまいそう。
「うん。美鈴、身体辛いの?」
 ジーッと私を見つめる弟の目を見て頷く。

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