恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「うん。ちょっとね。やっぱり風邪引いたみたい」
「じゃあ、早くお弁当買ってお家に帰ろう」
 歩が手を引いてコンビニに入る。
 歩はお好み焼き、私はおにぎりとコーンスープを選び、会計を済ませてアパートに帰る。
レンジで温めて夕飯を食べるが、全然食欲がなかった。
 だが、無理やり口に入れる。
 だって、食べなかったら余計に歩が心配する。
 弟には私しか家族がいないのだ。
 叔父はいるけど、そのうち好きな人がいれば結婚するだろうし、全面的には頼れない。
「ほら、美鈴熱測って」
 歩が体温計を出してきてまずいと思った。
 身体がとても熱いから今測ったら三十七度は確実に超えそう。
「いいよ。大したことないから」
 手で体温計を押し返したら、歩に怒られた。
「ダメ。測って」
「……はい」
 こういう時の歩は怖い。
 素直に従って熱を測ったら、三十八度六分もあって余計ぐったりした。
 こんなに熱を出したのは、高校の文化祭以来かも。数値で示されると、ますます風邪を引いたんだと実感する。
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