恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「大丈夫。薬飲んで寝れば治るから」
 救急箱を漁って風邪薬を探すが、子供用の飲む風邪薬しかない。
 そうだ。風邪なんか引かないからそもそも買ってなかった。
 頭痛薬を探して箱を見つけるも、中身がない。
 今まで薬なんて飲む習慣なかったからなあ。
 歩用の風邪薬と絆創膏さえあればオッケーという感じだった。
 大丈夫。薬なんかなくても寝れば治る。
 熱だって汗をかけば自然に下がるはず。
「美鈴、病院行こう」
「病院なんて大袈裟だなあ。このくらい寝てれば治るよ」
 午後八時を過ぎているから近くの病院はもうやっていない。かといって風邪ごときで救急を受診するのは大袈裟すぎる。
 布団を敷いて横になると、歩が私に許可を求めた。
「ねえ、美鈴のスマホ使ってもいい?」
 うちには固定電話がない。引くのもお金がかかるし、スマホがあれば事足りる。
「病院にかけるの? もう遅いから病院閉まってるよ。それに叔父さんにかけないでね。叔父さんも忙しいから」
 
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