恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 まだらな金髪に、夜なのにサングラス。耳と指にはアクセサリーをジャラジャラつけて、金の龍の絵が描かれたジャンパーを着ているこの柄の悪い四十代くらいの男は鮫島といって亡くなった母の元彼。
 母に三百万円貸したと言って三年前から取り立てに来るようになった。
 でも、そんな大金返せる訳がない。
 だから来る度に三万円渡して帰らせる。
「早く帰ってください」
 封筒を差し出すと鮫島が受け取り、中に入れたお札を確認する。
 三万円しかないと知ると、彼は激昂した。
「いつになったら三百万返すんだよ!」
「なんで三百万なんですか! 今まで月三万ずつ払って百万円以上返してきました!」
話が違う。勝手に借金を増やさないでほしい。
「月三万なんて利子だ。金を借りたら利子がつくって知らねえのか?」
大声で彼が喚き散らす。その言葉を聞いてショックを受けた。
「そんな……」
「もうこれ以上待てねえ。お前を風俗に売り飛ばせばいくらかになるだろう」
 鮫島が私の手を掴んで邪悪な笑みを浮かべるのを見て、恐怖に慄いた。
「嫌です! 離してください!」
 
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